リスキリング助成金とは、社員の学び直し(リスキリング)にかかる研修費用を国が支援する制度の通称で、代表格が厚生労働省の「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」です。中小企業なら訓練経費の最大75%に加えて、研修中の賃金も1人1時間あたり1,000円助成されます。業務に直結する生成AI研修は対象になり得ますが、2026年8月3日からは汎用的なプロンプトの作り方や概念の理解にとどまる研修は対象外になりました。令和4〜8年度の期間限定の制度です。私たちは非エンジニア中心の現場で社員がAIを使えるようになるまでを内製してきた立場から、制度の使い方と「研修を無駄にしない」進め方をお伝えします。(2026年11月5日に厚生労働省の案内で確認。最新は労働局でご確認ください)
リスキリング助成金とは、従業員の新たなスキル習得に必要な研修費用を国が補助する制度の通称です。正式名称は人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースで、業務に直結する生成AI研修やDX講座が対象です。要件を満たす中小企業の場合、訓練経費の最大75%が助成されるほか、研修中の賃金も1人1時間あたり1,000円が助成されます。令和4〜8年度の期間限定の制度で、計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前までに提出します。
リスキリング助成金とは(制度の中身)
会社が社員に受けさせる研修の「経費」と、通学制や同時双方向のオンライン研修なら「研修時間中の賃金」にも助成が出る制度です(eラーニング・通信制は経費だけ)。新しい事業展開や、DX・AI活用のために必要となる知識・技能の習得が対象で、外部講座の受講もeラーニングも使えます。
- 正式名称:人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)
- 対象:雇用保険適用事業所の事業主が、雇用する労働者に計画的な訓練を実施する場合
- 使いどころ:生成AI研修・DX講座・データ分析研修など、事業の変化に対応するための学び直し
助成率と金額の目安
数字はシンプルです。中小企業と大企業で率が変わります。
| 項目 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 経費助成率 | 最大75% | 最大60% |
| 賃金助成(1人1時間) | 1,000円 | 500円 |
| eラーニング等の経費上限(1人1訓練) | 15万円 | 10万円 |
たとえば1人あたり10万円のAI研修を中小企業が5人に受けさせた場合、経費50万円のうち最大37.5万円が助成される計算です(要件を満たした場合の目安)。通学制や同時双方向のオンライン研修なら、研修時間分の賃金助成も別途加わります(eラーニング・通信制は経費助成だけで、賃金助成の対象外)。

AI研修は対象になるか・2026年8月の変更
生成AI研修・DX講座は、このコースの典型的な活用先です。ただし2026年8月3日からは、助成の対象になる訓練の中身が絞られました。
- 2026年8月3日からの変更:汎用的なプロンプトの作り方や、DXの概念・リテラシーを学ぶだけの訓練は対象外に。営業の提案書づくりに生成AIを使う訓練のように、特定の業務に直結する内容が対象です
- 今後就く職務のための訓練:人事・人材育成の計画に基づき、3年以内に従事する予定の職務に必要な訓練も対象(計画は認定経営革新等支援機関の確認が必要)
- 受講回数:同じ人が助成を受けられるのは1年度に3回まで、そのうちeラーニングは1回まで
- 注意:2026年度(令和8年度)が最終年度とされており、活用するなら今年度が実質的なラストチャンスです
「どんな研修を受けさせるべきか」という中身の設計は、社員向けAI研修の進め方で詳しく書いています。制度と中身はセットで考えてください。
申請の流れと期限の注意
一番の落とし穴は期限です。訓練開始日の6か月前から1か月前までに「計画届」を労働局へ提出する必要があり、「研修を受けた後で申請」はできません。
- ① 訓練計画を立てる(対象講座・受講者・時間数)
- ② 訓練開始日の6か月前から1か月前までに計画届を提出
- ③ 訓練の実施(出席・賃金の記録を残す)
- ④ 訓練終了後に支給申請 → 審査 → 支給
要件の細部(対象訓練の時間数・書類など)は年度で変わるため、管轄の労働局か社会保険労務士に確認しながら進めるのが確実です。当社は申請代行は行いませんが、「何を学ばせるか」の研修設計側をお手伝いします。

私たちの考え:研修は「翌日使う業務」とセットで
私たちは関連会社の介護・医療の現場とともに、記録・日報・シフトなどの業務をAIで内製し、非エンジニアの社員が日常的に使うところまで定着させてきました。その経験から言うと、研修が定着するかどうかは「翌日から使う業務があるか」でほぼ決まります。講座を受けただけでは、1か月後にはほとんど忘れます。
おすすめは、助成金で外部研修を入れる場合でも、①自社の実業務(メール・議事録・集計など)を教材に持ち込む ②研修直後に「この業務はAIでやる」と決めて業務側を変える、の2点をセットにすることです。制度の全体像はAI導入に使える補助金と、失敗しない使い方、ツール導入費の支援はデジタル化・AI導入補助金2026もあわせてどうぞ。
よくある質問
個人で受ける講座にも使えますか?
この制度は事業主向けで、会社が社員に受けさせる訓練が対象です。個人の学び直しには経済産業省系のキャリアアップ支援など別制度があるため、立場に合わせて選んでください。
eラーニングだけでも対象になりますか?
eラーニング・通信制の訓練も対象とされています。経費助成の上限は1人1訓練あたり中小企業15万円・大企業10万円で、賃金助成は対象外です。同じ人のeラーニングは1年度に1回までです。
1人だけの受講でも申請できますか?
少人数でも制度上は利用できますが、計画届など手続の手間は同じです。対象者をまとめて計画する方が、効果も手続の効率も上がります。
介護や医療の事業所でも使えますか?
業種を問わず、雇用保険適用事業所であれば対象になり得ます。介護現場での具体的な進め方は別記事(介護職員のリスキリング)で解説しています。
いつまでに動けばいいですか?
計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前までに出します。令和4〜8年度の期間限定の制度なので、年度後半は駆け込みが増える前提で早めの準備をおすすめします。
- 中小企業は経費の最大75%+賃金1時間1,000円。業務に直結するAI研修が対象(汎用的な研修は8月3日から対象外)・令和8年度までの期間限定
- 計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前まで。「受けた後で申請」はできないので逆算で動く
- 研修は「翌日使う業務」とセットにしないと定着しない。制度より先に、業務側の設計を




